先日のヘッドフォン祭にて、印象的な出会いがあった。
『わが祖国』のCDを20枚以上所有しているという、根っからのクラシックファンの方だ。
同じ曲でも指揮者や楽団、録音年代によって表情が変わる。 その違いを聴き比べるのがクラシックの醍醐味だと、その方は熱心に語ってくれた。 イベントの本来の目的は製品を紹介することだが、こうした音楽談義から話が広がっていくこともまた、ヘッドフォン祭という場の面白さだと改めて感じた出来事だった。
この出会いをきっかけに、今回はスメタナ「モルダウ」を改めて紹介したい。
クラシックは、指揮者や楽団でその表現は大きく変わってくる。自分の好きな演奏を探すのが楽しい。
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮のものですべての音に活気があり、聴き応えのある演奏だ。
モルダウは、スメタナの連作交響詩『わが祖国』の中の一曲である。 チェコを流れるモルダウ川の情景を音楽で描いた作品で、川面が陽光を受けて輝く様子が目に浮かぶような旋律を持つ。
Cross/Sシリーズの4色モデル、KA-GbPr Cross/4s で楽曲の魅力が溢れる。
このケーブルは、従来のKA-PgPg Cross/4sと比べても空間表現がより広く、細やかになった一本だ。
高音域の倍音表現に優れ、上下方向へ空間がすっと伸びていく感覚が特徴で、定位表現の自然さとリアルさは並のサラウンド環境を凌駕する。 解像感も非常に高く、音源の空気感や制作意図までも余さず再現する力を持っている。

モルダウのように左右に音が動き、川の流れを描写するような曲では、この定位表現の強みが存分に活きる。 オーケストラの各パートがレイヤーのように分離しながらも、全体としては一つの情景を描き出す。 音数が多く複雑な構成であっても、音がぼやけたり滲んだりしないため、モルダウの持つ壮大さと繊細さの両方をクリアに味わうことができる。
一方で、同シリーズのKA-GbPr Cross/4wの魅力も忘れてはならない。 Wシースケーブルとしての完成度は既に揺るぎないもので、情報量の豊かさと帯域バランスの良さは安定感そのものだ。 低音の深みから高音の澄んだ響きまでを高い次元でまとめ上げ、ジャンルを問わず安心して音楽に没入できる懐の広さを持つ。

Cross/4s が楽曲の世界観を抜け良く表現する一本だとすれば、Cross/4wはその演奏表現を支える揺るがない土台を持った一本と言える。 この両方があってこそ、モルダウのようなダイナミクスの幅が広い音楽の魅力を余すことなく引き出せるのだ。
