RK-Silver/KAと同時に発表されたKA-RgWb Cross/4との組み合わせは、まさに“相棒”と呼ぶにふさわしい安定感と相互補完性を示す。初めてRK-Silver/KAを手にしたあの鮮烈な感動を呼び起こしつつ、その記憶を上書きするほどの到達点が今回の試聴で明確に体感できた。
この曲は、英語では “Rosary Sonatas” や “Mystery Sonatas”。
ドイツ語では “Rosenkranz-Sonaten / Mysterien-Sonaten”と呼ばれている。
作曲者は、ヘンリクス・イグナツ・フランツ・ビーバー(Heinrich Ignaz Franz Biber, 1644–1704)。
17世紀オーストリアを代表するヴァイオリニスト兼作曲家である。
計15曲のヴァイオリン・ソナタと、最後に独奏ヴァイオリンの《パッサカリア》から成る。
15のソナタはすべて違う調弦法で演奏されるのが最大の特徴だ。
キリスト誕生から復活に至るまでの喜びや苦しみ、栄光を音楽で描く。
そして、Rosenkranzのブランド名の由来ともなった曲なのだ。
KA-RgWb Cross/4によるサウンドは、よりダイレクトかつ緊張感があり、演奏者の体温や張り詰めた空気までも伝えてくる。その音が耳に届いた瞬間、思わず身震いしてしまうほどの“本気”の音を感じていただけるだろう。
Wシースシリーズが生み出す、柔らかく包み込むような空間表現とは異なり、この組み合わせでは硬質で明晰な音場に正確に音像を描く。表現に曖昧さが一切ないため、その描写は極めて純度が高い。
ひとつひとつの音の起りが制裁に浮かび上がってくる。まさに“正確無比”なサウンドだ。
その正確無比さから音源の演奏技術、録音精度を少し厳しく問う性格ところはあるが、瞬間的表現により何よりもライブ感に満ちている。
さらに、白(はじまりの無垢さ)、黒(全色を内包する厳格さ)、赤(人の感情)、緑(時間の流れ)といった象徴的な色彩の物語が、RK-Silver/KA/EX(Ver.UP)によって再び鮮明に立ち現れた点も聴き逃せない。
このアップグレードが、音楽の持つ世界観を完璧に表現する。今回の組み合わせではその完成度の高さを改めて確認する結果となった。


