明日、秋葉原でイベントを開催する。
その準備の中で、開発者のJoe氏とあらためて話す機会があった。
Joe氏がこだわりを持っているテーマについてだ。
真のオーディオマニアは低音のクオリティにお金を使う、とよく言われる。
それだけ低音は、空間の土台を形成し、ステレオ再生の質を左右する重要な要素だからだ。
しかし、Joe氏は言う。低音の再生において、多くの人が見落としている要素がある。それが「反射音」である。
生音やスピーカーの音では、低音の直接音と床を伝わる反射音のあいだにわずかなタイムディレイが生じる。人間の耳と脳はそのズレを無意識に処理することで、定位感や空間の広がり、臨場感を感じ取っている。ところがポータブルオーディオには、この反射音の要素がそもそも存在しない。どれだけ良い音源を再生しても、空間情報が欠落したまま耳に届くことになる。これがポータブルオーディオ特有の、どこか生音やスピーカーとは違う定位感の正体だとJoe氏は指摘する。
波形として低中高の音が出ていれば原音再生と言えるのか。人間が音をどのように知覚し、何があって初めてリアルと感じるのかという点まで踏み込まなければ、真の原音再生とは呼べない。それがJoe氏の一貫した見解だ。
だからこそ、ポータブルオーディオをさらに上の次元へ引き上げるには、この「反射音」の再現が不可欠であると断言する。それが達成できてこそ、生音に最も近いポータブルオーディオとなる。本来であれば存在するはずの空間表現を再現するには、素材の特性を活かしたアナログコンピューティング的な音響設計が必要である。そのアプローチを徹底して突き詰めているのが、ローゼンクランツだ。
言葉で説明できる部分には限界がある。
あとは実際に耳で確かめていただきたい。ぜひ明日のイベント会場で!

